「分ける」という魔法と、その落とし穴
私たちは毎日、当たり前のように世界を「分けて」暮らしています。 でも、その「分ける」という行いが、実は私たちの世界を魔法のように作り出していることに、お気づきでしょうか。
1. 名前をつける=「切り離す」こと
物理的な世界において、分けることの第一歩は**「名前をつけること」**です。
目の前に広がる景色を「海」「山」「川」と呼ぶとき、私たちの心は、つながり合った一つの世界にジョキジョキとハサミを入れています。 「ここからは川、ここからは海」と決めることで、はじめて私たちは世界を整理し、誰かに伝えることができるようになります。
これを**「分離(ぶんり)」**といいます。 名前をつけることは、宇宙という大きな一枚の布を、使いやすい大きさに切り分けるような作業なのです。
2. 「分ける」ことで生まれる「私」と「あなた」
この「分ける」魔法のなかで、最も強力なのが**「私」**という名前です。
宇宙という情報の海に「私」という境界線を引くことで、はじめて「私ではないもの(世界やあなた)」が生まれます。 分けることで個性が生まれ、出会いが生まれ、対話が生まれる。 物理世界での「分ける」は、豊かな体験を生み出すための大切な道具なんです。
3. 分けすぎると、元の姿が見えなくなる
でも、一つだけ気をつけておきたいことがあります。 あまりにも細かく分けすぎてしまうと、私たちは「もともとは一つだった」ということを忘れてしまいます。
パズルをバラバラにしすぎて、元の絵がわからなくなってしまうように、「私」と「世界」を切り離しすぎると、孤独を感じたり、対立が生まれたりすることもあります。
数学でも、細かく分ける(微分する)ことで見えてくる真実がありますが、最後にはそれらをもう一度つなぎ合わせる(積分する)ことで、全体の姿が見えてきます。
4. 「分ける」手を休めて、抱きしめてみる
もし、あなたが「分けすぎて」疲れてしまったときは、少しだけその手を休めてみてください。
名前に頼らず、境界線を引かず、ただ目の前にあるものを「そのまま」感じてみる。 そうすると、分断されていた世界がふわりと溶け合い、元の大きな「和(わ)」に戻っていきます。
物理世界で上手に「分けながら」、心の中ではいつも「つながり」を抱きしめている。 そんなしなやかな生き方ができたら、素敵だと思いませんか?

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